蕎麦とラーメン食べ歩き と読書のブログ

蕎麦とラーメンの食べ歩きと読書のブログです。蕎麦は、結構詳しいので、蕎麦の評価は信用出来ると思います。ラーメンは、素人です。読書傾向は偏りがちです。読書系の記事以外は酔っ払いながら書いてますので、失礼がありましたら、すみません。

カテゴリ:読書関係 > 作家(あ行)

3
酒亭(しゅてい)DARKNESS

恩田陸の「酒亭DARKNESS」です。楽天市場から通知がありまして、この作品のお知らせがあったのですが、内容紹介を読んでみると、
全国各地の酒場の片隅でふと語られる、ちょっと不思議で不穏な話。
酒を片手にした謎解きの果てに見えてくるものとはーー

なんて紹介されておりまして、酒好きの僕としては何か魅力を感じて購入してみました。1番最初の「跡継ぎの条件」を読み終えた時に、こんな陳腐な話がこれから13編も続くのかと考えたら、げんなりとしたのですが、夏休みは何処にも行かずにまったりとしていたので、そのまま読み続けましたら、徐々に面白さにエンジンがかかってきまして、最後まで読み終える事が出来ました。先ずは【あとがき】から紹介させて頂きます。

『孤独のグルメ』のホラー版みたいなの、やりましょう。
そう編集者から提案を受けたのが、もはやいつのことだったか思い出せない。
単に、酒飲みのメンバーが多かった文藝春秋の私の各担当編集者や歴代編集者が、あちこちで飲みたいとい理由で始まったシリーズのような気もする。実際、それまでも、取材や出張で各地で飲んでいたのだが、せっかくだからその飲み会を原稿に結びつけ、有効活用しようという目論見もあったのかもしれない。一緒に取材で店を回り、遅くまでつきあってくれた皆さんに、深く感謝を捧げます。
「居酒屋ホラー」とのみ呼ばれていたこのシリーズ、例によってこの本数が溜まるまで何年もかかってしまった。それぞれ、登場する店には一応モデルがあるけれど、いろいろアレンジしたり、複数の店を組み合わせていたりするので、特に店名は明記しない。もし「ここかな」という店に入ったら、あの話はここからインスパイアされたのかも、くらいに思ってもらえれば嬉しい。

この続きで更に、各作品の舞台になった場所とコメントが記載されておりまして、何か答え合わせの様で楽しめました。【あとがき】はあった方が良いですね。この作品の続編が出たとしたら、また購入しても良いと思いました。(*´∇`*)

1、  跡継ぎの条件
2、  夜のお告げ
3、  昭和94年の横丁
4、  風を除ける
5、  黒の欠片
6、  曇天の店
7、  三味線の音
8、  笑うカピタン
9、  歌うカステラ
10、  祖父の墓
11、白の迷路
12、アトランダムな神々
13、空飛ぶ梅

特別編 ムーン・リヴァー

この時点で既に集中力が切れかけているので、紹介出来る所まで紹介させて頂きます。(後日、全部仕上げるかもです)

1. 跡継ぎの条件
老舗の居酒屋を継ぐにあたり、二代目から三代目に提示された条件は「毎日、一定の時間だけ、席のひとつを空けておくこと」
それさえ守れば、あとは自由にやっていい──そんな一見シンプルな約束が物語の核になります。
誰もがもう「そこに何が座るのか」を想像出来てしまいます。あまりに王道的でベタな仕掛けのため、個人的には少し肩透かしを食らった感がありましたね。正直、この段階では「投げ出そうか」と思いました。

2. 夜のお告げ
幽霊もUFOも信じない男が、商店街を歩いていると「来ちゃいけない」という声を聞く。その直後、自動車が突っ込んできた。
声がなければ確実に撥ねられていた──つまりその“お告げ”が命を救ったんです。
そんな馬鹿な的な結末でしたが、お伺いしてみたい場所ですね。(舞台になった商店街に)

3. 昭和94年の横丁
この作品から、面白さにエンジンがかかってきました。(ただ慣れてきただけかもしれません)名古屋の繁華街の外れで飲んでいた「私」が目にしたのは、「昭和94年」と書かれた日めくりカレンダー。
店の雰囲気や調度品が昭和風であることも相まって、不思議な時間のズレを感じさせる。
だが同行者は「そんなカレンダーは見ていない」と言う。そして次に訪れた古いアーケード街で、「私」はさらなる異様な光景を目撃する……。
これは、一冊の長編にも膨らませられるだけのポテンシャルを感じました。(*´∇`*)

4. 風を除ける
沖縄のユタの家系に生まれた友人が、関西の大学に進学する際、親戚のおばさんから一つの鈴を受け取るんですね。
「これを離さず持ってなさい。鈴が鳴ったら、風を除けてどこかに隠れてなさい」
と書かれていたんです。その鈴の中をよく見たら、中に何も入ってなかったんです。其れゆえ、その鈴は鳴るはずが無いものだったんですね。しかし、その友達は、家の鍵に付けているキーホルダーと一緒に「鈴」を付けていましたら、ある時、その「鈴」が鳴ったんですね。本書の中でも特に印象に残りました。

あと「空飛ぶ梅」も良かったです。(*´∇`*)

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第3弾との事です

「慄く〜最恐の書き下ろしアンソロジー」です。角川ホラー文庫30周年を記念し、最大の恐怖を詰め込んだアンソロジー、待望の第3弾との事です。楽天ブックスでお気に入り登録している作家の新作が出ますと、お知らせがくる設定にしてまして、「貴志祐介」を登録している関係で、この作品のお知らせがきたので購入してみました。第3弾は、下記の6作品です。
有栖川有栖「アイソレーテッド・サークル」
北沢陶「お家さん」
背筋「窓から出すヮ」
櫛木理宇「追われる男」
貴志祐介「猫のいる風景」
恩田陸「車窓」

こういう作品でないと、知らない作家を読む機会がないので楽しめました。(貴志祐介以外では、恩田陸しか読んだ事ないです)この6作品の中では、1位が貴志祐介、2位が北沢陶、3位が有栖川有栖という感じでした。残りの3作品は駄作でした。

有栖川有栖の「アイソレーテッド・サークル」は、定番の(ひと昔にも読んだ様な既視感がありました)ホラー作品という感じで楽しめました。大学の「探訪部」サークルの男女6人が、夏合宿で訪れた山で恐ろしい事件が起きるんです。これを題材に50パターン位書けてしまいそうです。

北沢陶の「お家さん」は、惹き込まれました。大阪船場、道修町の和楽問屋の「磯室屋」で奉公する長治が主人公の物語です。タイトルにもなっている「お家さん」は、磯室屋の旦那の母親の事で、この「お家さん」が不思議な力を持っている人だったんですね。僕の予想を超えるラストで楽しめました。北沢陶を初めて知りましたが、文章にセンスがありまして、他の作品も読んでみようと思いました。

貴志祐介の「猫のいる風景」は、一番面白かったです。内容紹介には「姉の死を怪しむ妹と叔父の心理戦」とありますが、正しくその通リで楽しめました。タイトルの通リ、猫も重要な役割を果たします。

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3
下級国民A

赤松利市の「下級国民A」です。文庫化されたので購入してみました。この作品は、エッセイです。主に「東日本大震災」の復興土木の(自分自身の)体験談を語っております。凄く面白かったのですが、この復興土木の様子は、「ボダ子 」の方が詳しく描かれていましたし、それ以前の(兵庫県で)コンサルティング業を営み、年収が2,400万円あった頃も描かれておりましたので、先ずは「ボダ子 」から読んで頂いた方が楽しめるかと思います。(勿論、こちらの「下級国民A」から読んで頂いても全然問題ありません)

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とりあえず「作品紹介」にいってみます。
東日本大震災からの復興ビジネスは金になる。会社の経営に失敗して家庭も破綻した著者は、再起を目指して仙台へ。だが、待ち受けていたのは過酷で醜悪な日々だった。仕事仲間からの陰湿な苛め、危険極まりない除染作業、守られない労働契約に金銭搾取……。「下級国民」に落ちて男が気づいた、日本の真の姿とは? すべてが実話。衝撃のエッセイ。

手に取ってみたくなる「作品紹介」ですね。今回の文庫化にあたり、担当編集者からは、
「今の時期にこそ読まれるべき作品です」
というエールを頂いたとの事です。そして、国立市で講演会を行ったそうですが、そこに参加された皆さんは、『下級国民A』に書かれたことが、他人事ではなく我がことであると、真剣に耳を傾けて下さったとの事です。この格差社会や相対的貧困をどうすれば是正できるのか。それは、今後の小説をもってそれを示していくそうです。これからも貧困と差別をテーマに小説を書いていくそうです。今後の作品をチェックです。

このエッセイで一番印象に残った場面です。「ボダ子 」を読んでいなかったら、別の場面だったかもしれませんが、「ボダ子 」を読んだ僕としては、そこには無かった、下記の場面が凄く印象に残りました。
それでも震災から三年を経て、『農家民宿』は復活しつつあった。主な利用者は、ボランティアで南相馬を訪れる連中だった。
 朝夕の食事が付いて、宿泊費は格安のビジネスホテル並みで、しかも『被災者』の自宅に泊まり、彼らと交流できるのだから、ボランティアにはお誂え向きの宿泊施設だった。
 そんな『農家民宿』が数軒営業を再開しているのを知った。
ただし未だハードルはあった。除染作業員を泊めるというのが、事業の趣旨に則していないのだ。
 考えに考え抜いた末、以前、震災の年に、営業という名目で訪れた原町商工会議所に三年ぶりに足を運んだ。
 営業に訪れた折に対応してくれた事務局長は健在だった。さらに驚くことに、一度しか訪ねていない私のことを覚えていてくれた。
「あれ以来、南相馬市のことがずっと頭から離れませんでした。石巻で復興土木事業に関わっている間も、いつか南相馬市に行って、お役に立ちたいと思っていました。ようやくその思いが通じて、南相馬市で仕事が出来ることになりました。今日はそのご挨拶に参りました」
 嘘で塗り固めた台詞を一気に発した。
 事務長の顔に笑みが浮かんだ。見抜かれている。悔恨が充満した。きれいごとを並べて、被災地で金儲けをしようという輩は後を絶つまい。そんな奴らを、事務長はどれほど観てきたことか。俄か作りの虚言などが通じるはずがない。
 仕事には来たけど宿舎がありません。『農家民宿』に口を利いてもらえませんか。
とてもそんなことを言える空気ではなかった。
 諦めて辞そうとした。
「何かご依頼があっていらしたんじゃないかな」
 事務長に引き止められた。
「遠慮なさらないで仰ってください。私たちは頼られることが嬉しいのです。頼られることに飢えていると言ってもいいくらいです」
 二拍ほどの間、事務長が考え込んだ。
「皆さんあれこれと、この町への思いを語られます」
 そこで言葉を切った。何かに躊躇している様子だった。そして言った。
「さっきのあなたのようにです」
 そしてクスリと笑った。笑みではなく、確かに声に出して笑った。
「失礼、言葉が過ぎました。でも、気にしないでください。それは偽りではなく、私たちに対する優しさだと思っています。ですから、ご遠慮など無用です。私は何をして差し上げられるのでしょうか」
 平身低頭しながら真の来意を告げた。
 すぐに事務長はデスクの上の受話器を取り、どこやらに電話をした。短い会話を終えてメモが差し出された。
 「こちらで、皆さんを受け入れてくれます」
 メモを押し頂いた。

赤松利市と原町商工会議所の事務長との会話は何故か心に沁みました。その場面が、僕の右脳の遠い所で、ハッキリと映像として浮かんできました。事務長の「それは偽りではなく、私たちに対する優しさだと思っています」という台詞が深みがありました。

文庫本なら、かなりのオススメです。

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僕的には、「鯖」が一番オススメです。
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3
隅田川心中

赤松利市の「隅田川心中」です。本格的にアップはしてきませんでしたが、食べ歩き記事の前半部分で、赤松作品を何冊が案内してきました。「ボダ子」を最初に読んで、次に「鯖」を読んで、赤松利市作品を制覇してみようと思ったんですね。今回の作品は、タイトル通リ、隅田川に入水心中する男女の物語なのですが、そこに至るまでの展開が(ラストは分かっているのに)楽しめました。内容紹介です。

64歳の大隅一郎は気ままなひとり暮らし。ある日、行きつけの喫茶店でアルバイトをしている咲子に「父親の借金返済のために愛人にしてください」と言われて承諾する。32歳の咲子と同衾を果たした末に、「子供を産みたい」と懇願され数十年ぶりに恋の炎が燃えたぎる。咲子の体に溺れた一郎は結婚を決意するのだが、彼女の父親の借金問題に悪い輩が絡んで一郎の貯蓄はみるみるうちに溶け、一気に奈落の底へと堕ちていく。愚かな男の性を大藪春彦賞作家が生々しく、はかなく描いた傑作性愛小説。


この内容紹介も良いですね。ほんと、64歳の愚かな男の性が、生々しく、はかなく描かれてます。ほんと「はかない」です。そして想像はつくと思うのですが、この愚かな男性は、赤松利市自身がモデルなんですね。以下は「あとがき」からです。

さて、登場人物につきまして、私の作品のほとんどがそうであるように、実在する人物をモデルにしております。主人公の愛欲に溺れる情けない初老の男性のモデルは私自身です。
彼が落剝していくエピソードも、私が作家になる以前の実体験を元にしたものです。
登場人物が訪れる飲食店も浅草に実在します。
しかし、私にも(ご信頼頂けないかもしれませんが)、自分なりに超えてはいけないと考える一線がございます。
私なりにコンプライアンスを意識しているのです。
私以外のモデルには、登場人物であろうが、取り上げた飲食店であろうが、モデルにすることを逐一お断りし、許諾を得ております。
実名を明かさないで欲しいと言われた飲食店さんが一店舗だけありますので、その他の店は、「浅草 店舗名」でご検索頂ければ、所在地を含めた詳細が明らかになるはずです。


この「あとがき」の知識を持って読むと、更に楽しめると思います。あと1年で定年を迎える「大隅一郎」は、64歳まで独身できたのですが、32歳の幸薄の咲子と出会い、幸せな生活を夢みて結婚を決意するですね。しかし、咲子には、咲子に寄生するギャンブル狂(競馬)の父親がいて、その父親と縁を切る為に、借金の肩代わりをするのですが、咲子の父親はまたノミ屋に借金を作ってしまうんです。老後の為に貯めてあった500万も底をつきそうになり・・・・。一郎は、奈落の底に落ちていくんですね。そこに至るまでの物語がホント面白かったです。(ほんと愚かで駄目人間なんです。笑ってしまう程に)この作品を通勤電車で読んでいたのですが、咲子の風俗嬢なみのテクニックに、思わず勃起してしまいました。(*´∇`*)

続きで印象に残った場面を。

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3
怪物商人
江上剛の「怪物商人」です。大倉財閥を築いた 大倉喜八郎 の物語です。92歳まで生きて、しかも現役期間も長い。かなり「濃い人生」なのですが、400ページで収めるには流石に無理があり、主要な出来事をサラッと“なぞった感”はあります。ただ、それでも 面白い。人物の躍動感と時代の空気がしっかり伝わってきました。

物語は、18歳で越後国・新発田から江戸に出てきた喜八郎が、21歳で鰹節屋「大倉屋」を創業し、その後「鉄砲屋」へ転じ、さらに軍需関連の御用商人としてのし上がり、様々な事業を立ち上げて 一代で財閥を築くまでを追います。喜八郎の最初の大きな躍進は、横浜で黒船を見て、
「これからは鉄砲の時代だ」
と読んで鉄砲商に転じたことですね。そして、その後の飛躍は、誰も手を出さない“高リスク案件”に対して、信念を持って攻めていった結果です。江上剛は、そういった攻めの胆力を持つ喜八郎像を魅力的に描いています。(それが実像と完全にイコールかは別として)

弘前藩の江戸家老「西舘平馬」から鉄砲の仕入れを打診された際のやり取りはベタだけど良かったですね。弘前藩は、奥羽でただ1つの勤皇方で、榎本武揚率いる旧幕府軍と対峙している状態なのですが、弘前藩には、鉄砲を仕入れるお金がない。なので弘前藩の蔵にある蔵米1万俵で支払いたいというリスクの高い「西舘平馬」の申し出を受けてくれる鉄砲商は何処もない状態だったんですね。
「大倉殿、なんとか津軽を助けてもらいたい。もし、あなたが引き受けてくれなければ、私は切腹する覚悟でござる」
西舘は強い口調で決意を語った。
喜八郎は、かっと目を見開いた。
「承知いたしました。お引き受けいたしましょう。蔵米1万俵との交換で鉄砲二千五百挺ご用意いたします。この大倉喜八郎、命に代えて約束を果たしましょう」
そう言って、ゆっくり頭を下げた。
「このご恩、平馬、一生、忘れ申さぬ」
 

この後、喜八郎は、全財産を投げ打つ覚悟で「安田善次郎」から二万両を借りるんですね。そして、西舘との約束を果たすんです。この場面は良かったです。( ´∀`)つ

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2
ガッツン!















伊集院 静の「ガッツン!」です。帯に惹かれて購入してみましたが、この作品だけで言えば、まだ“助走中”という感じでした。これで完結ではなく、あくまでも序章。僕の予想では、ここから面白くなる確率は 40% くらいです。帯にはこんなコピーがありました。
伊集院 静が描く

麻雀青春記! 

神楽坂の街で出会った三人の若者が、麻雀を通して成長していく。著者ならではの人情の機微に溢れた長編小説。

なんてあったので、麻雀モノの小説が好きなのでついつい購入してしてしまいましたが、まだ全然アツくないです。帯に【麻雀を通して成長していく】とありますが、今回の作品でまだ全然成長していなくて、まだ足踏み状態なので、今後に期待という感じですね。

この作品は3人の大学生が主人公です。山口出身で三流大学の学生の【ユウト】、静岡出身の一流大学の学生の【カズマ】、神楽坂で生まれ育った一流大学の学生の【マチコ】、この3人が織り成す「麻雀青春記」なんですね。まだ3人が出会って、ちょろちょろっと麻雀を始めたくらいの所で今回は終了してました。

この3人は、どれも圧倒的な魅力がある訳でもなく、今後の展開もあまり期待出来ない感じでしたので、今後、伊集院 静には余程頑張ってもらいたいです。( ´∀`)つ

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見えざる網














伊兼源太郎の「見えざる網」です。飯田橋の「芳進堂」で、何を読むか迷える子羊状態になっていた僕が、【第33回横溝正史ミステリ大賞受賞作】という帯を頼りに購入しました。

主人公は、寺の息子 今光凜太郎。ある日、街頭インタビューでSNSに批判的なコメントをしたところ、それがテレビで流れてしまい、翌日から命を狙われるようになるんですね。駅のホームで背中を押されて電車に轢かれそうになったり、細道を歩いていたら鉢植えが落ちてきたり……。その出来事の背後には、SNSを運営する 「フローラ社」 が暗躍していた。今光は真相究明に動き始めるのですが、その前に立ちはだかるのは、巨大な“見えない力”。
——という感じのストーリーです。

最初の掴みは良かったんです。ただ、読み進めるにつれて底が見えてしまい、展開が少し陳腐になっていきます。そして、ワザと誘導したのか、新手の捻りなのかは分かりませんが、犯人は「まあ予想通り」でした。とはいえ、この作者 伊兼源太郎 には伸び代を感じました。(この作品がデビュー作らしい)なので、この後の作品を読んだことある方、読むべきか、読まざるべきか 教えてください。(・∀・)つ

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3
海の翼













秋月達郎の
「海の翼〜エルトゥールル号の奇蹟〜」です。紹介して頂きまして読んでみました。数年前に、このエルトゥールル号の話がテレビで紹介されていたのを観た事があって、概要は知っていたのですが、なかなか楽しめました。プロの作家の方なら、この題材を与えられて小説を描いたら、まず外さないと思います。(*´∇`*)
■エルトゥールル号遭難事件
明治23年9月16日、オスマン帝国の軍艦エルトゥールル号が、和歌山県の串本沖に浮かんでいる紀伊大島の東方海上の岩礁に衝突し、沈没した事件。(死者500名以上、生存者69名) この軍艦が日本を訪問してきたのは、明治20年、小松宮彰仁親王夫妻がオスマン帝国の皇帝のアブデュルハミト二世を表敬訪問した事による答礼として、オスマン・パシャ海軍少将を全権特使とする大使節団が送り出された。遭難事件はその答礼の為の訪問が終わり、オスマン帝国への帰途に起こった。

そして、この遭難事件で、樫野から大島にかけての村中の人が総出で、救助と生存者の介抱に当たったんですね。台風の影響で荒波の中での命がけの救助や、食糧の備蓄も少ない村が、サツマイモなど全ての食糧を供出して、トルコの人達を救護したんです。知らせを受けた明治天皇は、適切な治療を行う様に軍艦八重山の派遣を指示し、政府に対しても最大限の援助を行う様に指示したんです。更に、遭難事故の20日後に、日本海軍のコルベット艦、「比叡」と「金剛」に生存乗員を分乗させ、オスマン帝国に送り届けたのです。

この時の日本の対応や、その当時のトルコの敵国であったロシアを日露戦争で打ち破った事などでトルコの人々の中では日本人に対して良い印象があり、その後も順調に日本とトルコは良好な関係を築いてきたんですね。そして月日が流れて、昭和60年3月17日の20時、イラン・イラク戦争の最中、イラク革命指導評議会の議長サダム・フセインが

「首都テヘランを含むイラン上空を飛ぶ全ての国の航空機は、3月19日20時半を期して無差別に撃墜する」

と宣言したんですね。このフセインの宣言で、テヘラン市内は恐慌状態に陥ったんです。どこの航空会社の窓口も帰国用の航空券を買い求める人達で溢れかえったんです。在イランの日本大使館の人達などが不眠不休で航空券を手に入れる為に這いずり回ったのですが、エールフランスやルフトハンザなどイランに航空路線を持っている航空会社は何処も自国民に優先的に座席を与えている為、他国民が座席を予約する事は不可能な状態で、イラン在留の邦人の200人以上の席を確保する事は絶望的な状態だったんですね。この当時の日本は、イランへの航空路線を保有してなく、自衛隊の海外派遣が不可で、航空自衛隊機による救援も出来なくて(現在は、自衛隊法が改正され在外法人を輸送する事が可能)政府は日航と調整をして、日航機を飛ばす準備まで出来ていたのですが、日本航空の組合側の反対に遭い(これは事実かよく分かりません)日本側からの救出も絶望的になり、八方塞な状況となったんです。
 そんな中、3月18日の夕方、トルコのビルセル大使から駐イラン野村大使に、「明日トルコ航空が2機来る。空席があるから日本人の搭乗希望者数を教えて欲しい」と電話があったんです。駐イラン野村大使は、日頃からトルコのビルセル大使と家族ぐるみの付き合いをしていてビルセル大使にお願いしていたんです。(トルコ国内でもトルコのオザル首相に直訴して日本人救援機派遣に尽力した日本人がいたんです)そして、トルコ航空に日本人215人が分乗する事が出来て、この危機を脱出したのです。

上記の様な実話を元に、この作品は感動的な話に仕上がっておりまして、読み出したら面白くて止まらなくなりまして徹夜して読んでしまいました。この日本とトルコの良好な関係は、その後の日本からトルコへの開発援助など、様々な形で続いておりまして、この一連の流れを知らなかった方にはおススメです。( ´∀`)つ

続きで、この作品で印象に残った場面を(・∀・)つ

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3
誘拐

五十嵐貴久「誘拐」です。年末から体調崩してまして、寝床でこの作品を読んでました。タイトルからも分かる様に【誘拐】モノなのですが、(色々突っ込み所がありますが)爽やかな読後感を得る事が出来まして、なかなか面白かったです。

この作品では、誘拐されるのが現職の総理大臣の孫なんですね。そして、犯人は最初から正体が分かっているパターンで、この犯人の誘拐から始まって、身代金奪取のお手並みを拝見出来ます。そして警察側は、特殊捜査班の責任者である荒巻警視正と同じく特殊捜査班のノンキャリアの星野警部がメインとなって、犯人と対決します。犯人側の身代金奪取までの経緯も爽やかだったし、僕が読んだ【誘拐】モノの小説では、初めて体験する手法だったので面白かったです。そして、追う警察側も勿論ノンキャリアの星野警部の方が活躍しまして、クロージングもカッコ良かったです。以下はこの小説の作品紹介から抜粋です。
歴史的な条約締結のため、韓国大統領が来日する。警察が威信をかけてその警護にあたる中、事件は起きた。現職総理大臣の孫が誘拐されたのだ。出された要求は、条約締結の中止と身代金30億円。鮮やかなラストに驚愕必至のクライム・ヒューマンサスペンス。

という感じです。( ´∀`)つ

ネタバレになってしまいますが、【続き】で、僕が一番疑問に思った事を書いてみます。(スマホの方は、一緒の画面に出てしまうので、これより下は読まない方がよろし(。・ω・)ノ゙)

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阪急電車

有川浩の「阪急電車」です。友人から「これは次郎向きだ」とすすめられて借りた一冊です。読み終わったあとに特別な余韻が残るわけではなかったのですが、読んでいる最中は素直に楽しめました。「売れている本」として納得できる作品だったと思います。

物語は、阪急今津線の「宝塚 — 西宮北口」の各駅を舞台に、その電車に乗り合わせた人々のささやかな人生模様が描かれていきます。語られる出来事自体は派手ではない。けれど、それぞれの登場人物の心の動きやちょっとした会話に「地味に上手いな」と思わせる巧さがあります。主人公がひとりではなく、リレーのように人物がつながっていく構成が、この作品を成立させている最大の要因だと感じました。誰かの物語が次の誰かへと自然に橋渡しされていく流れが、とても心地よいですね。そして、舞台が 阪急今津線 である必然性は実はさほど強くない。僕が日常的に乗っている新京成線でも、同じように人の人生は静かに交差しているはずだ。今津線は知らないが、情緒なら新京成も負けていない……はず。.。゚+.(・∀・)゚+.゚

有川作品を「次も続けて読むか?」と聞かれると少し微妙ですが、この作品はちゃんと楽しめました。そういう読後でした。(*´∇`*)

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c524dde8.jpg

小川糸の「食堂かたつむり」です。新潟に帰省する際に持っていった本で、会社の方におすすめされてお借りした一冊です。映画化されていたので存在は知っていましたが、正直、僕の好みのタイプではなく、今まで読む機会はなかったです。新潟の夜は時間があるので、さっと読み終えたのだが、感想としては――

「う〜ん、どうでしょう?(長嶋名誉監督風)」

という感じです。物語の中にある「奇跡」が、中途半端に感じてしまいました。夜の静けさの中で、僕の中にかろうじて残っているピュアな部分が、最後にもうひとつ大きな奇跡を期待したのだが、あっさり裏切られてしまい、どこか 消化不良 の読後感となってしまいました。ただ、ネット上でも評価は真っ二つに分かれている作品ですし、こういう物語を「良かった」と言える感性を持つ女性には、僕は惹かれるかもしれない。(^o^)

物語の流れはこんな感じ。
恋人に逃げられた 倫子 は、故郷に戻り 『食堂かたつむり』 を始める。やがてその食堂の料理には、恋や願いを叶える力があると噂されるようになっていく……。

ただ、僕としては、母との関係性 が必要以上に物語の中心へ寄っていったことで、店そのものが持つ「静かな奇跡」がぼやけていったように感じました。『食堂かたつむり』を軸にするなら、母とはもう少し距離を保ったまま描いた方が良かったんじゃないか――そんな気がしてます。

みなさんはどう読んだんでしょう?(*´∇`*)

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kijineko
 
井上荒野の「雉猫心中」です。評価は分かれる作品だと思いますが、僕的にはとても良かったです。(確実に女性向けの作品だとは思いますが、それでも良かったです)『切羽へ』を読んだときに感じた「井上荒野、よく分からん」という感覚が、この作品で一気に払拭されました。何より 心理描写が巧い。人物の心の揺れ方が細かく、しかも自然で、読んでいるうちにそのまま物語の内側に入り込んでしまう。僕にとっての永遠のテーマである “女性の心理” が、少しだけ分かった気がしました。( ̄ー ̄)ニヤリ

この作品は、不倫関係にある男女の「出会いから別れまで」を、女性と男性、それぞれの視点で描いています。正直、男性視点の章はあまり響かなかったけど、構成上は必要なパートだと思います。対して、知子の視点で描かれる章は圧倒的に良いです。感情の奥行きが深く、痛みも迷いも、すべて生々しく伝わってきます。そしてタイトルにも関わる “雉猫”。これは物語の中で「点と点を結ぶ線」の役割を果たしていて、象徴としての使い方がとても巧かったです。

ネットでは評価が真っ二つに分かれている作品なので、購入するのは少し賭けになる。けれど、気になるなら読んでみてもいいと思います。刺さる人には、ちゃんと刺さる作品です。(*´∇`*)

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togio







太朗想史郎の「トギオ」です。第8回「このミステリーがすごい!」大賞の受賞作ですが、僕の評価としては「☆2つ」。ただ、偉そうに言わせてもらうと、作者に才能そのものは感じましたね。今回は「惜しい」。次に新刊が出たら、もう一度だけ騙されたつもりで買ってみてもいい――そんな位置づけの作家になりました。(高飛車かもしれないけど、そういう感覚です)

読書にはリズムがあると思ってます。しかし、この作品はそのリズムがどうにも噛み合わない。近未来SFのような世界観なので、読者は頭をフル回転させて情景を想像していく必要がある。けれど、その想像を支えるはずの世界描写が薄い。つかみどころがなく、面白さも見えてこないまま読み進めることになります。ところが、そのまま読み続けていると、突然ぐっと面白くなってくる瞬間がある。「これはいける、ここからノれるぞ」と思った途端、また尻すぼみに沈んでいく。ラストも特に余韻や衝撃があるわけでもなく、読み切ったあとの疲労感の方が強かった。総じて言うと、**「ところどころは良い」**という印象の作品でしたね。

物語は、近未来の山村で暮らす主人公「蓮沼健」が、貧困のために山に捨てられた少年「白」を拾ったことから始まります。その行いが原因で、健は村八分に遭い、村を離れ、悪事に手を染めながら生きていく。そして、晩年の白と客人の対話や、健自身の語りを通して、その生涯が明かされていく構成です。説明が雑になってしまいましたが、今の気分だとこれが限界。ただ、この作者の「書ける人感」だけは確かにある。

次作に期待したいです。(*´∇`*)

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森のなかのママ







井上荒野の「森のなかのママ」です。井上荒野の 『切羽へ』 を読んだときは、正直まだこの作家を掴みきれなかった。「もう少し読まないと分からないな」と思い、続けて 『森のなかのママ』 を手に取ってみました。今回も電車の中で読んだのですが、集中が途切れることなく往復の時間で読み切ってしまいました。つまり、それだけこの作品は自分に合っていたということだと思います。少なくとも、 『切羽へ』 よりも面白かったです。

物語は、主人公のいずみと、その「ママ」とのささやかな日常を描いたものです。ママの天然めいた言動と、いずみの心の揺れや成長が、物語にあたたかさと輪郭を与えています。淡々とした日常なのに、どこか忘れられない余韻が残る。現時点で僕の中での井上荒野は、例えるなら「長谷川町子」に近い。大きく物語が動くわけではなく、同じ場所で時間がゆっくり流れていく。そのなかで、人物の小さな変化を丁寧に描く作家だと思う。今後も少しずつ読んでいくつもりです。ただし、井上荒野を連続で読む気にはならない。読み終えると、どうしても刺激の強い本を求めてしまうから。(*´∇`*)

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切羽へ







第139回、直木賞受賞作の井上荒野の
「切羽へ」です。この作品は、読んでから書こうと思っても、なかなか書けなかったです。パソコンの前で腕組みして、うーん…って唸るタイプの本ですね。言葉にしようとすると、すぐ逃げていく感じ。
まず本の帯。これは盛りすぎ。
「静かな島で、夫と穏やかで、幸福な日々を送るセイの前に、
ある日、一人の男が現れる。夫を深く愛していながら、どうしようもなく、惹かれていくセイ。やがて二人は、これ以上は進めない場所へと向かってゆく」

って書いてるけど、実際はそんな劇的な恋ではない。もっと静かで、もっと揺れが小さい。読んだあと、「そこまで言うほどか?」ってなる。僕が帯を書き直すならこうですね。
「静かな島で、夫と暮らすセイの前に、同じ学校に一人の男が赴任してくる。夫を愛している。それは本当。でも、ふと心が揺れる。島の海に、小さな波が立つ」

下手でも、こっちの方が作品の空気には近いと思う。帯を先に読むと、読者の心の姿勢がズレる。梅干し食べてすぐ鰻みたいな、口の中が落ち着かない感じです。

舞台は九州の離島(おそらく長崎)。セイと夫の陽介は、落ち着いた毎日を送っている。でも、小学校に石和(いさわ)が赴任してきて、そこからセイの心が、ほんの少しだけ揺れる。その揺れは、誰にでもある類いのもの。本気で心が通じ合ったとも言い切れない。破壊力のある恋でもない。前に、野口健が言っていた話を思い出した。登山で限られた人数と過ごしていると、同行している女性のことを好きになる。でも、下山したら「あれ、そんなに…?」って感情が冷めることがある、と。(うろ覚えだけど)セイの感情は、それに近い。東京で暮らしたあと、島を選んで幸せに暮らしている。でも、どこかで「何かが足りない」そこに石和が現れる。つまり、これは“運命の恋”じゃない。 盛り上がりも、破滅もない。 だからこそ、読後に「…で?」と感じる人もいると思う。選考委員の浅田次郎の講評を読みたかったけど、僕がいつも見るサイトは、まだ139回の分が更新されてなかったです。

静かに暮らしているつもりでも、心はいつも、どこかで潮の満ち引きをしている。という感じの作品です。(*´∇`*)

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