
服部真澄の「クラウド・ナイン」です。「ブラッド・ゼロ」と「クラウド・ナイン」の2編からなる作品で、ちょっと中途半端な感じがしたのですが、まあ面白かったです。
【オッド・アイ】という売上高が約400億ドルのIT企業で働く「木挽橋隆一(こびきばしりゅういち)」が主人公です。隆一は、オッド・アイの創始者にして、取締役会長兼社長のブルーノ・マーニーの娘の元婚約者なんでのですね。そこら辺の微妙な立場も絡みつつ、巻き起こる事件を解決していくんですね。
「ブラッド・ゼロ」・・・【オッド・アイ】のロサンゼルス本社の研究開発部門に籍を置きながら、ごくたまにしか出社せず、さしたる成果を上げることもなく、愛犬を連れての出社も大目に見てもらっていた「木挽橋隆一」は、ブルーノ・マーニーの娘、「アリシア」から一方的に婚約を破棄されて微妙な立場となっていたんですね。そんな時、上司のエヴァ・ハンドラーR&D統括本部長から、
「仕事よ、リック(隆一の事)。あなたは、我が社のエースたちがデータでは掴めなかったアメリカ代表チームの勝因を探り出して報告しなさい。期間は三週間。その結果が【オッド・アイ】にとって有益と判断されなければ、あなたの命運もこれまでよ」
と成果が上がらなければ解雇と宣告されたんですね。【オッド・アイ】では、社を挙げて、鳴り物入りのプロジェクトを立ち上げたんですね。ビックデータを駆使して今年のワールドカップの決勝トーナメントの勝敗を全試合、予測するというもので、四年前の前大会の時は、一回戦の勝者をすべて的中させていて、今年こそはと期待も高まった今回、準々決勝の第一戦の予想を外してしまったんですね。しかもその試合は、アメリカ合衆国代表絡みの試合で、【オッド・アイ】は、ベスト8止まりと予測したのですが、対アルゼンチン戦でロスタイムにエースストライカーの「パブロ・モス」がオーバーヘッドシュートを見事に決めて、ベスト4入りを果たしたんですね。そして、【オッド・アイ】の役員会の席で、社長のブルーノから、
「ワールドカップの件で、【オッド・アイ】が世界じゅうの笑いものになったのは誰の責任でしたかね?」 と叱責されたのが、エヴァ・ハンドラーR&D統括本部長だったんですね。そして、その調査を命じられた隆一は、インターポールから研修に来ている人物を部下に付けてもらい調査を開始するのですが・・・・・・。簡単に言えば「人工血液」ビジネスに、このアメリカ代表の「パブロ・モス」が関わっていまして、現在の現実の世界(ロシアのドーピング問題)と、この作品を読んだタイミングが丁度良くて、興味深く読む事が出来ました。
「クラウド・ナイン」・・・【オッド・アイ】の取締役会長兼社長のブルーノ・マーニーが悪性の脳腫瘍を患ってしまったんですね。ブルーノが手術で入院している隙に、ブルーノが秘匿していた共同事業主が勝手な行動に出るんですね。それは、ブルーノと密かに開発していた「人工衛星」を許可なく打ち上げたんですね。元婚約者の「アリシア」からのヘルプが入り、隆一もこの事件に関わっていくのですが、この「人工衛星」の打ち上げの話からかなり壮大な話になっていきまして、少し感動しました。簡単に言うと、この人工衛星は、
〇宇宙からの発電(太陽光発電衛星)
〇宇宙からのハリケーンの制御(高周波ビームで台風の目を温める)
〇宇宙からのエネルギー兵器(レーザービームでターゲットを破壊)
の実験に成功するんですね。この物語を読みながら、現実の世界でほんとに可能なのかとか、妄想にふける事が出来ました。ただ、この作品は、文章が組み立てが下手なのか、僕の理解力がないだけなのか分かりませんが、少し分かり難い流れとなってまして、しょっとストレスでした。
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作品の内容や展開は全く堅苦しくない。歴史が苦手な生徒に「マンガ」にして分かり易くするように、人参の嫌いな子供に、すり潰してハンバーグに混ぜるように(この例え意味不明かな)エンターテイメント性をふんだんに織り込んで、とても楽しい作品に仕上っています。ここが服部真澄の上手い所ですね。楡周平の『ゼフィラム』も服部真澄が大幅加筆修正すれば、かなり面白い作品になるはずです。( -д-)ノ



日本の命運はその男の手の中に」

















