黄金旅程

馳星周の「黄金旅程」です。なかなか面白かったです。タイトルの「黄金旅程」は、競走馬・ステイゴールドの中国名。ステイゴールドをモデルにした小説が書きたかったそうです。僕もステイゴールドが現役の頃はバリバリ競馬をやっていたので、知らない人より、更に楽しめたと思います。

装蹄師の平野敬は北海道の浦河で養老牧場を営んでいる。牧場は幼馴染の和泉亮介の両親が所有していたものだったが、騎手だった亮介が覚せい剤所持で刑務所に入ったこともあり譲り受けた。敬が注目するのは栗木牧場生産の尾花栗毛馬・エゴンウレア。以前装蹄したことがあり、その筋肉に触れた瞬間、超一流の資質を秘めた馬だと確信していた。だが気性が荒く、プライドも高い馬で調教に手を焼いていて、今まで勝ち鞍がない。その馬主と競馬場で会った際、レースで突然馬が興奮するという不自然な現象に遭遇する。また、敬は出所して無職だった亮介に、本来の力を取り戻すべくエゴンの乗り役になるよう勧める。その後、レースでの不自然な現象は厩務員の一人が犬笛を使って八百長に加担していたことが判明。敬は裏で糸を引くヤクザの尾行を始めるが気付かれ、拉致され殺されそうになるも、一命を取り留める。様々なトラブルが起こる中、エゴンが出馬するレースの日も近づき、亮介による最後の調教も終わった。エゴンに人生を託した人々の想いは、二勝馬脱却への奇跡を呼び起こせるのか――。

集英社の作品紹介です。僕の「馳作品」の読み方としては、帯すらもよく読まないで、何の情報も無く読む様にしているんですが、この作品も情報が少ない方が良いかと思います。この作品の随所に、馳の「ノアールの世界」へと展開していくのではないかという場面があり、作品の物語を追いつつ、馳の事を思いながら(どっちにいくんや?なんて)少しハラハラしながら読み進めました。この作品のインタビュー記事には、既に全貌が分かってしまう様な事も言ってますので、インタビュー記事も、この作品を読んでから見るのが良いと思います。


このインタビューで、差し支えない所で印象に残ったのを紹介します。

――現実を踏まえつつ、それでも競馬に関わっている人たちが馬を愛しているということが作品からは伝わってきます。馬がその思いをどう受け止めているかまではわかりませんが。

 僕は、犬の小説でも、今回の馬の小説でも自分に課していることがあって、それは、動物を絶対に擬人化しないこと。人の目から見た犬、人の目から見た馬しか書かないと決めています。擬人化する小説もあるけれど、絶対違うと思うんですよ。お前、本当に犬の気持ちがわかるのかよ、とツッコミたくなる。もう二十六、七年、犬と暮らしているけれど、犬たちが本当のところどう考えているのかはわからない。人間のように考えるわけないんだから。

ここは印象に残りましたね。これを読むと、今後の馳作品において、動物を擬人化した作品は出てこない事が分かります。僕的には、やりすぎなければ良いと思ってますが。(*´∇`*)


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