夜半獣

花村萬月の「夜半獣」です。ファンでも無い方がわざわざ読む作品ではないのですが、萬月ファンでしたら、それなりに楽しめるかと思います。この作品を読み終えた際に思ったのは、この作品を読むに当たっては「あとがき」を読んでからの方が断然楽しめると思いましたので、先ずは「あとがき」の一部から紹介します。(下記の1行目の「始めて」は誤植かと思います)

小説家になって、始めて完全に夢を土台に執筆しました。
夢=眠っているときに見る夢です。
五年前くらいから明晰夢を見る練習を始めました。二年くらいたったころから手応えが確信に変わり、いまでは、ある程度自在に夢の内容をコントロールすることができます。眠りに就く直前に、これから見る夢を軽く念じておけば、大概それに沿った夢を、しかも社会常識や嘘臭い道徳、狭苦しい決め事を楽々超越して自在にイメージを飛翔させた夢を見ることができる。こうなると眠るのが愉しくてならない。
眠って夢を見て、目覚めてそれをもとに小説を綴る。これは眠っているときも小説を書いているようなもので、図々しく大仰なことをいえば二十四時間小説家の誕生です。
明晰夢を見るのには資質もあるようで、軽々しく貴方も見ることができるようになるとは言えません。
このあたりのことはいずれ出版されるであろう〈たった独りのための小説教室〉に詳細に記しておきましたので、興味がある方はどうぞ。老婆心ながら、ネットなどを検索して辿ると、妙にスピリチュアルな方向に流れてしまうのでお勧めできません。
この作品〈夜半獣〉は、夢で書くという大胆な方法に加えて、普段のお喋りで小説を書きあげることにチャレンジしました。おなじく〈たった独りのための小説教室〉から引用します。
『小説家の心構えとしては、自身の文体にかかわる文字言語において、音声言語にどの程度沿うべきか、それを冷徹に見極める必要があります。読楽で連載している〈夜半獣〉という作品は、私にとって思い切り音声言語に近寄った実験的な作品』ということですーーー。

この「あとがき」にあります様に、この作品は萬月が見た夢を土台に描かれています。更に「あとがき」にもある様に、文体は「音声言語」に近寄った文体となっておりまして、何の事前情報も無しに読んだ僕としては、物語の展開や文体に多少の「違和感」を持って読み進める事になりました。僕的に、萬月作品の中では最下位の作品である『GA・SHIN!我神』に少し似ていて、このままこの調子で進むのかと不安になったので、この情報を知っていれば安心して読めたと思います。(読み進めると、結構まともな展開で、その不安は払拭されるので問題はなくなりましたが)ある程度狙って夢を見ていると言っても、その潜在意識の中で、直近の萬月作品の「対になる人」や「ヒカリ」の中に出てくる内容に、かなり影響を受けているなと思える作品でした。

それではいつもの様に帯にいってみましょう。

気付けば無人の車両に乗っていて、わけもわからず上槇ノ原へとたどり着いた省悟。癖のあるどこか愛くるしい住民達と共に生活をするうち、省悟は郷にとってなくてはならない存在となった。

ある日、省悟は上槇ノ原と下槇ノ原の抗争に巻き込まれてしまう。
古より続く上下抗争だった。
そんななか省悟は「夜半獣」として圧倒的な力を得ると共に、村民から敬われる存在となり……。

夢か現か、異世界での戦争が始まった。


国分寺のアパート暮らしの「省悟」は、東京駅で、中央線の中央特快速高尾行きの電車に乗ったのですが、眠りから覚めると東武東上線に乗っていたんですね。終点の「槇ノ原」まで行く羽目になってしまったのですが、その「槇ノ原」は、現在の日本とは、ある意味で隔絶された街だったんです。そしてその「槇ノ原」は、上槇ノ原と下槇ノ原に分断されていて、代々、争いが絶えない街なんです。事の成り行きで「上槇ノ原」に住み着いた「省悟」は、上槇ノ原と下槇ノ原のお互いの存続をかけた争いに巻き込まれてしまい・・・・・・。

という感じで流れていきます。だいぶ酔ってきてしまったので、また編集するかもですが、こんな感じの作品です。上記の情報だけで物語を想像してみてください。「槇ノ原」は、時代はトリップしてなく、現代での進行なのですが、「上槇ノ原」のシャーマン的存在の所長が許可した人達しか入る事が出来ない街で、その街では「所長」(萬月)が決めたルールで回っている街でして、エロあり、大量殺りくありで、萬月ファンなら楽しめる内容になってます。おやすみなさい。(*´∇`*)


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