
中山七里の「恩讐の鎮魂曲」です。シリーズの3作目です。僕的にはシリーズの中で1番面白かったです。今回の作品の帯にも「悪辣弁護士・御子柴」と紹介されておりますが、作品を売る為にインパクトを与えたいのでしょうけど、もうこの表現は限界かと思いますので止めてもらいたいです。まあ【御子柴礼司】の過去も過去なんで、シリーズとしてもそろそろ厳しい所ですけどね。
前作で、御子柴の旧悪が暴露されてしまったんですね。今までは、ただ単に「金には汚いけど優秀な弁護士」というのが御子柴評だったのですが、実は少年時代に幼女を殺害し、その死体を切断してそのパーツを幼稚園や神社に放置するという、世間からは【死体配達人】と呼ばれた人物だったという事が世間に知られてしまったんです。
そして今作品では、御子柴の真っ当な依頼人は次々離れていき、虎ノ門にあった事務所もテナント料が払えず、葛飾区の小菅に移転せざるえなくなり、今や大口の顧客といえばヤクザの【宏龍会】だけになってしまったという状況からはじまります。そんな中、御子柴が事務所で新聞を読んでいると、社会面に
〈四日、埼玉県川口市の特別養護老人ホーム伯楽園から、職員が入所者に殺されたとの通報を受け、警察が到着すると、同園に勤務する介護士の栃野守さん(46)が倒れているのが発見された。栃野さんは鈍器で頭を強く殴打されており、警察は現場に居合わせた入所者の稲見武雄容疑者(75)を殺人の容疑で逮捕した。栃野さんは既に死亡しており、稲見容疑者は栃野さんを鈍器で殴打したことを認めている。捜査関係者によると稲見容疑者は、「栃野さんが自分の介護をしていて最中に口論となり、かっとなって殴った」と供述している〉
なんて記事を発見するんですね。実はその容疑者の【稲見武雄】とは、御子柴が関東医療少年院に入院していた頃の担当教官だったんですね。御子柴は、この【稲見武雄】から贖罪の意味を教えられ、弁護士として生きていこうと、人生に一条の光を見い出せたのも稲見のお蔭だったんです。御子柴は、そんな稲見が人を殺す訳がないと考え、稲見の弁護人となる事を決意するんです。
そして実際に弁護人になってみると、稲見は犯行を認めている。動機、チャンス、方法、自白と全て揃っている状況だったんですね。これは公判で認否を争える様な案件ではないんですね。(僕的にはこの面会時の御子柴と稲見の会話が一番心躍りました)御子柴は、その後入念な調査を行い、事件の裏に隠された衝撃の事実に辿り着くんですね。そして御子柴は、介護士殴殺事件第一回公判で、
「弁護人は被告人の殺意の不在を理由に無罪を主張します」
と宣戦布告するんです。果して御子柴は無罪を勝ち取れるか
という感じの作品なんですね。今回も中山七里のテクニックで深い構成となっておりまして楽しめました。続きで印象に残った場面を( ´∀`)つ
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中山七里の作品って、僕的には「凄く上手い作品!」という印象で、読み手を意識した何層にも施こされた仕掛けが凄く楽しめて関心させられるのですが、心に訴えかけてこない印象なんですね。感情表現がイマイチという印象だったのですが、今回の御子柴と稲見の初めての接見の場面の二人の会話は、何か心に訴えかけるモノがありましたね。
ここら辺の場面は、テンション上がりました。(*´∇`*)
「教官。俺はあなたを救いたいんだ」
「気負うのも結構だがな、俺は栃野が憎くて殺した。間違いなく動機があった。しかも完璧に正常な精神状態の下でだ。その事実は何があろうと覆せん」
あまりの潔さに眩暈さえ覚える。
実生活の中ではともかく、法廷闘争の上ではマイナス要因にしかならない。この男は闘う前から的の弾に撃たれようと身構えている。
「どんな被疑者にも護られるべき権利がある」
「そしてどんな人間にも償う権利がある。そう教えてたのを忘れたか?」
御子柴は思わず言葉に詰まる。
忘れるはずがないじゃないか。
「人に教えたからには自分でも実行する。俺はこの手で人を殺めた。だから罪の大きさに見合った罰を与えてくれればいい。俺は甘んじてそれを受ける」
稲見は決然とした口調で言い放つ。それを真正面で受け止めながら、御子柴はひどく当惑した。
全ての容疑を認め、罰してくれと望む依頼人。
ここら辺の場面は、テンション上がりました。(*´∇`*)


















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