zero

百田尚樹の「永遠の0」です。僕的には、★を2つにしようか3つにしようか悩んだ作品。帯の

「2009年最高に面白い本大賞 文庫・文芸部門BEST10」

「第1位」

というのを見ての期待値に対しての失望感を考えると圧倒的に、★が2つなのですが、冷静にこの作品の出来で考えると、そんなにまでは悪くないので、やはり★が3つかなと思って評価しました。

僕は、30歳を過ぎた辺りから「涙腺」が緩くなってしまって、すぐ涙が出てしまう。朝の満員電車の中で本を読んでいて、悲しい場面とかになると、あの電車の中でも、涙してしまうようになってしまいました。しかし、この作品では、涙が出なかったです。この戦争の時代の本を読みまくっていた時があり、この理不尽な「特攻」とかの話にかなり強い「抗体」を持っていたのが大きな原因だと思いますが、それを差し引いても、作者の意図みたいなのが見えてしまって駄目でした。だからといって、ストーリーの展開が全部読めたかというとそうでもなく、最後の辺りなんか全く予想してない所に辿り着き、僕にとっては「やられてしまった」作品なのですが、それでも、心には響かなかったです。

ストーリー的には、
終戦間際に特攻で死んでいった、祖父の「宮部久蔵」がどんな人だったかを「健太郎」は調べる事になり、あの戦争の生き残りで、宮部久蔵の事を知る人達に話を聞いてみると・・・・、

 「海軍航空隊一の臆病者だった」「命を惜しむ男だった」
               ↓
 「妻のために死にたくないのです。自分にとって命は何よりも大事です」
  という様な事を言う男だった。
               ↓
 「飛行機の腕は一流の搭乗員だった」「命を救ってくれた恩人だった」
 「心の優しい教官だった」「常に生き残る事を考えてた人だった」       
  
    

という感じで、実際の戦争の話や特攻隊の話などを織り交ぜながら、宮部久蔵の事が徐々に明かされていき、宮部久蔵の最期までを描いている作品です。さらにその中に、サプライズ的な話が織り込まれております。

あの太平洋戦争をあまり知らない人に興味を持ってもらうには良い作品だと思います。この作品を高く評価している方の感想とかを読むと、あんな時代に、こんなタイプな人がいて、そんな人があんな風に人生の幕を閉じてしまうなんて(涙)・・・・。って感じが多い気がしました。

まぁ、僕はひねくれ者だから、ちょっと駄目でしたが、読んでみる価値は十分あると思います。
続きで、ネタばれと、ついでに「次郎的、1番涙した作品」を紹介します。暇な方はどうぞ ( -д-)ノ


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この作品の良さは、あの時代で、妻や子を想い、当時の常識を打ち破る発言と行動をする宮部久蔵の魅力だと想うのでですが、その魅力をイマイチ巧く出し切ってないと想うんですよね。

●あんなに、生きて帰るとの信念を持った男が、どうして、最後に特攻隊に指名されて、自分で自分を納得させたかという宮部久蔵の想いが知りたかったです。最後は、たんたんと自分の運命を受け入れてしまってる場面しかなく、納得がいかなく、作者に怒りすら覚えました。「主題」から逸れてしまっていると想うんですね。最後の場面で、零戦を交換してもらう所なんて一番納得がいかない。信念を曲げてまで譲った理由を僕が納得出来るように書くのは、一番やらないといけない事では?と思ってしまいます。

●まぁ、実際の世界ではそうでしょう。松乃と大石ができちゃうような話は多いでしょうよ。しかし、小説の世界では、

「宮部に頼まれたから、僕は松乃と一緒になったんだ。だから、一度もおばあちゃんを抱いた事はないんだ。それでも、とても幸せだったんだ」

みたいなのが欲しいよね。僕の涙腺はそういう方に反応すると思う。(これ言っちゃう時点で、作者の策略に嵌ってる?)

まぁ、あと細々、不満な点がたくさんあり1番ますが、大きい所はこの2点です。で、あと1つ。涙腺が緩くなった僕が、1番泣いた作品は、山崎豊子の「沈まぬ太陽」で、墜落した機に搭乗していた河口博次さんの遺書の部分ですね。
マリコ
津慶
知代子
どうか仲良く がんばって
ママをたすけて下さい
パパは本当に残念だ
きっと助かるまい
原因は分らない
今五分たった
もう飛行機には乗りたくない
どうか神様 たすけて下さい
きのうみんなと 食事をしたのは
最后とは
何か機内で 爆発したような形で
煙が出て 降下しだした
どこえどうなるのか
津慶しっかりた(の)んだぞ
ママ こんな事になるとは残念だ
さようなら
子供達の事をよろしくたのむ
今六時半だ
飛行機は まわりながら
急速に降下中だ
本当に今迄は 幸せな人生だった
と感謝している

(この文章自体は、http://www.goennet.ne.jp/~hohri/n-index.htm から拝借)

この部分を読んだ時は、涙が止まらなかった。ポロポロ出る事はよくあるのですが、結構な時間出続けたのは、この場面が1番ですね。