
黒武洋の「ファイナル・ゲーム」です。僕は、いろんなエリアの「ブックオフ」を定期的に回るのですが、一時期、どの店舗に行っても100円棚に 黒武洋の「そして粛清の扉を」 が置いてあったんですね。「ホラーサスペンス大賞受賞作」だし、100円なら読んでみるか、というところから黒武作品との付き合いが始まりました。実際に読んでみると、飽きずに読めるし、なかなか面白かったのですが、印象としては “新人賞レベルの作品” でした。ただ、読んでいて、
この人は、伸びたら一気に化けるタイプかもしれない
と感じさせるところがあった作家です。だからこそ今回の「ファイナル・ゲーム」で成長した黒武洋が見られるのでは?と期待して読んだのですが――正直、そこまで成長してなかったです。ストーリー自体は悪くないし、方向性は良い線いっているんです。ただ、やっぱりまだ 筆力が追いついてない。僕は小説を読む時、文字を追いながら、それを頭の中で映像化していくタイプなのですが、文章の上手い作家だと、この映像化がスムーズなんですよね。逆に、文章力が弱いと、映像がうまく立ち上がらない。そういう意味で、この 「ファイナル・ゲーム」 は、映像化できない場面が多かったです。さらに、展開面でも「そこは納得できないだろ…」という部分が何度かありました。筋は良い。コンセプトも悪くない。ただ、もう一段階、文章と構成の技が必要かと・・・。
大学時代のサークル「試全倶楽部」のメンバー6人が、リーダー桜の呼びかけで7年ぶりに集まります。桜が案内するのは孤島の施設。そこで桜は、いきなり5人を閉じ込め、こう宣言します。
「俺の指示を伝える。長年の友情と、今生じた疑惑の間で苦悩しながら死んでいくメンバーの“死の直前の表情”を撮影し、俺にメールしろ」
さらに、メンバーの中に “最初から桜側にいた共犯者がいる” と告げられる。そこから、1人、また1人と消えていく――という展開。設定自体は、なかなか良い。けど、演出と描写が追いついてない。惜しい、惜しいんですよ、この作品は。(*´∇`*)
次作にこそ期待です。

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