
楡周平の「マリア・プロジェクト」です。この作品は、後半はちょっと駄目な感じですが、全体的には良い作品で、楡周平作品では上位に入るくらい好きな作品です。帯は完璧です。
「妊娠22週目の胎児の卵巣に存在する700万個の卵子。この生物学上の事実が巨額の金をもたらすプロジェクトを生んだ。顕微鏡の中で繰り広げられる生命創出の一部始終。快感に打ち震える科学者。神を冒瀆する所業に今、ひとりの日本人が立ち向かった」
アメリカのコロラド州にあるボルダーで開催された学会に参加した、東京で産婦人科医院を経営する新城と帝都大学で不妊治療の研究を行っている河村に、アメリカの製薬会社のウィリアム・アンド・トンプソン社のものが、
「未成熟の卵子を体外受精に耐えうるだけの成熟した卵子にする培養基と技術を開発した。それも胎児の卵子を成熟出来る」
そのプロジェクトに協力してくれないかとの依頼されるんです。巨額の成功報酬と研究者としての立場で深い興味を覚えて、2人はこの提案に協力を約束するんです。そんな中、新城の元に、一部上場会社のオーナー社長の娘である、大道寺諒子が妊娠6ヶ月で、中絶手術に訪れるんです。その妊娠22週目の胎児を使い、その胎児の卵巣から採取された卵子が培養液によって、40個の卵子が成熟して使用可能となったんです。その卵子を使って、フィリピンのスラムのトンドから拉致した処女の女の体を使って、子供を生ませようとする。・・・・・という感じでストーリーが流れていきます。それから、様々な因縁やら臓器売買やらにと物語は流れていきます。
実際にありそうで怖い話です。昔よく、小説やマンガの世界で、借金して返済できない人に借金取りが、「じゃあ、臓器でも売って、金を作ってもらおうか?」なんて脅し文句がありましたが、まんざら嘘でもない気がします。この「マリア・プロジェクト」は、不妊治療の事やフィリピンの情勢などが詳しく書かれていて、そういった面から見ても面白かったです。今回は、更に説明下手ですが、今から読んでも損はなしです。
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