池井戸潤の「ブティック」です。この作品の読み始めは失敗したかなと思いました。主人公は東京中央銀行に入行3年目の若手行員・雨宮秋都。50歳を過ぎた僕とはあまりにも世代が違い、「これは感情移入できないかも」と感じたからです。しかし、それは完全な杞憂でした。物語が進むにつれて主人公よりもストーリーそのものが面白くなり、いつの間にか年齢差なんて忘れて夢中で読んでいました。さすが池井戸潤、読ませる力がありますね。先ずは帯にいってみます。
「君、銀行辞めて、どうするの?」
入行3年目、エリート街道を歩んでいた雨宮秋都は、
ある案件をきっかけに、理不尽な戦力外通告を受けてしまう。
退職を決意した秋都が見つけた、新たな希望とはーーー?
退職した秋都が新たな活躍の場として選んだのは、「ランパス東京」というM&Aブティックでした。この作品のタイトルである「ブティック」は、洋服店のことではなく、企業の合併・買収や事業承継を専門に扱う少数精鋭のM&Aアドバイザリー会社を意味しています。僕も最初は「なぜこのタイトルなんだろう?」と思いましたが、読み進めるにつれてその意味がよく分かりました。
銀行という大組織では救えなかった会社を、別の立場から支えていく。それは秋都が思い描き理想としていた仕事と一致していて、そんな仕事の面白さと難しさが描かれています。
そして物語は、ランパス東京が手掛ける案件をきっかけに、古巣・東京中央銀行との真っ向勝負へと発展していきます。秋都と、古巣・東京中央銀行との対決は、まさに池井戸作品らしい読み応えがありました。銀行小説というよりは、M&Aという仕事を題材にしたビジネスエンターテインメントとして非常によく出来た作品です。専門知識がなくても十分楽しめますし、「会社を売る」「会社を残す」という経営者の葛藤も伝わってきます。僕も去年、とある会社の顧問に就任しまして、このM&A戦線に飛び込んでいったので感慨深いものがありました。(その結果は、バッドエンドでしたが)
池井戸潤作品を読んだ事ない方でも楽しめると思います。(*´∇`*)

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